少年少女、夏駆ける

■登場人物


■あらすじ
夏休み、ウルシロの誘いで釣れもしない魚を待って数時間。
三人の子供たちが退屈にうなり始めたその時、釣竿に重たい何かが引っかかる。
協力して釣り上げたそれは、絵本の童話で見た”魔女の宝石”そのものであった。
 
魔女にまつわる伝説や御伽噺がとても多いこの町で、現代の魔女は存在しないのだろうか?
走り聴き取り大調査。


■会話の記録
「そもそも魔法って具体的に何だよ」
「本だったらお嬢がいくらでも持ってそうだけどなあ」
「そうね、暗い森の方でも散歩してみたらどうかしら?きっとヒントがあると思うわ」
「ここって、誰かの家……?誰も居ないみたいだけど、掃除したばっかりみたいな感じだね」
「え、ネネ知ってますよ?あっちの通りの方です」


えんでぃんぐ

色々な調査や聞き取り冒険を経て、ついに現代魔女の元へ辿り着いた三人……と思いきや。
 
「いやここフォスさんの家じゃん、ウルシロのお隣じゃん」
 
とてもご近所だった。
三人は薬屋のフォクリュースことフォスに訪ね、
 
「魔女って本当ですか?」
 
と聞いた。するとあっさり、
 
「ええそうよ?すごいわあ、よく知ってるのねえ〜」
 
と和かに答えられてしまった。
フォスは三人にお茶を振る舞いつつほんのりと昔話をした。
昔からフォスの家系は薬屋であったが、それ以外にも星読みや未来予知、霊視や占いなどをしていて過ごしていたという。
 
「ほんとに大昔はまだ地盤も緩くて、争い事なんかもあったでしょう?でも私のご先祖様は巻き込まれたく無かったから、だから森には危険な魔女が居るから〜って噂を流して、誰も来ないように引きこもってたみたい」
 
そうして身を隠しながら暮らしていたフォスの先祖だったが今でいう町の人々にはとても優しく、必要ならば薬を作り、災害の予知があれば知らせ、魔女というより賢者のような存在だったらしい。
町に魔女にまつわる伝説やお伽噺が多いのも、そのどれもが魔女に対して友好的な話であった理由はそこにあった。
 
「そういえばこれ!この石ってフォスさんの?」
「あ〜!どこにあったの?ご先祖様のお家をお掃除してた時に落としちゃって困ってたの」
 
フォスは星読みや占いなどはまったく出来ないそうで、薬屋一本でのんびり暮らしているという。町ではフォスが魔女の子孫である事を知っている人もいれば、知らない人もいる。しかし森で一人ではなく町で皆と暮らす彼女を、特に祭り立てたりもせずそっと町の一員として接してくれることが嬉しいそうだ。
 
そんなこんなで三人の夏の冒険は幕を閉じる。深く考えたこともなかった町の歴史を少し知り、ほんの少し成長した子供達。
残りの夏をどう過ごすかと考えてながらのんびり歩いていると、そういえばまだ釣りがまだ途中だったとウルシロが言い出す。
 
「「それ以外で!!」」
 
タツキとルルの声が木霊した。