私の体はどこいった

■登場人物


■あらすじ
目覚めると記憶喪失で、草原にすっ転がっていた彼女。
よくも分からず彷徨う中、自分を拾い住処と仕事を与えてくれた屋敷の中で働くマフィレヴィー。
今までまったく気にしていなかったが、ふと気付いてしまったことがある。
 
「いやこれ、私の体じゃなくな〜い?」
 
ちょうどそんな時、屋敷の主であるフロレンスの友人から、レヴィーと同じように頭と体が何か違う者が居るという手紙が届く。
本当の自分の体を探すため、レヴィーはその者へ会いに行ってくると屋敷から一度旅立つ決意をする。
旅の中で自分と同じ境遇の者に出会っていく彼女は、果たして何を思うのか。
♦︎の繋ぎ目を目印に、いざゆかん。


■会話の記録
「うん〜?これお互い頭だけは同族ってこと〜?」
「僕も行きます。僕も、自分について知りたいんです」
「俺と同じ体!?……って、わけじゃないのか。なあ、頭の方には会ってないのか?」
「ていうか私たちってみんな結構記憶喪失だよね〜」
「この体の本来の頭である方は、体の方を探していたりしないのでしょうか。」


えんでぃんぐ

自分と同じように頭と体のパーツ違いを抱えるカインやリヒトと出会い、そして自分を探すべく共に旅したレヴィー。
噂の賢者に会うべく辿り着いたまどろみの森で、彼女たちの前に姿を現したサリエラと呼ばれる者もまた、レヴィーたちと同じであった。
彼女はこの地方の歴史に詳しく、そして異なる頭と体を持つ者達の事についても知っていた。
 
サリエラはゆっくりと話す。
レヴィー達は研究によって作られ、更にはその研究が頓挫するに従って廃棄された物であったのだと。
研究過程で廃棄されたはずの彼女らが、一体何をきっかけに、何のタイミングで目覚め、こうして意思を持って動けるようになったのかは分からない。
そして、
 
「サカナの体とトリの体。そして逆もしかり、リュウの頭にクビナガの頭。長らくこの地方に居るが、我は今まで、そのどれもを見た事がない」
 
と、彼女は複雑そうに語った。
 
元の体は、見つからなかった。そして、本来この体の持ち主であったはずであろう存在と、作られたという存在である以上、抱えた頭でさえも自分自身なのか定かでは無いという事実。
彼女らは夜の森の中で焚火を囲み、皆一言も喋らず物思いに耽った。
しかし途方に暮れて段々ぽつりぽつりと話をしているうちに、レヴィーは元の体を探していたのは確かであるが、今の自分の体はそれはそれで気に入っていたのだとも気付く。
 
「それでもこの体が、今のあたしにとっては本物の体なんだ」
 
決して本来の自分の体では無い、誰かの体かもしれない。
いつか本来の頭を持つ者に出会うかもしれない。
しかしその事実も受け止め自分らしく生きるのだと笑う彼女に、リヒトやカインも顔を綻ばせた。
 
朝日を迎え、こうしてレヴィーの旅は終わる。
出会った近しい仲間たちとまたいつか再び会う約束を交わして。
 
「僕は深海の方へ。二人は?」
「俺も霊峰に帰るかな、レヴィーは帰ったらどうすんの?」
「ご主人のお洋服を洗濯〜」
 
二人と別れて屋敷への帰路を辿る。
久々に会う主に何から思い出を語ろうかと考えつつ、いつもの体で草原を駆けて抜けていった。