かなしき石

■登場人物


■あらすじ
旅に出たレヴィーを見送って幾数日。
フロレンスとリンドウはいつものように日々を過ごしていたが、どうにも誰かの視線を感じる日々が続いていた。
友人たちや街の人々に聞いて回ってみた所、どうやら見知らぬ人影を最近見かけたという話が多く挙がる。
街の議員たちにもすぐ話は回っていたようで、しかしその人影があるからと言って特に何をしている訳でも無い様子。
念のため警戒だけはしておくようにとその日の話はまとまった。
 
しかし、その日の真夜中の事だった。
屋敷の扉をやけに雑に叩く音が、フロレンスとリンドウの耳に入った。こんな時間に屋敷の扉を叩くとは一体誰なのかと、二人は思案する。
 
「レヴィーが帰ってきた?」
「いいえ、レヴィーには手紙の書き方も出し方も教えました。帰る時には必ず一報入れるようにとも」
 
二人は件の者かもしてないと身構えて、扉を開いた。
そして、
 
「おなじわたしのにおいがしたの」
 
そう淡々と言い放った、レヴィーの風貌とどこか似ている灰色の少女は、そのまま二人に飛びかかった。


■会話の記録
「君は誰なんだ!?レヴィーを知っているのか……?」
「おしえて、どこ。わたし?」
「ちょっと全然話が通じないわ、どうしたもんかしらね!」


えんでぃんぐ

襲い掛かった灰色の少女との戦闘の末、ようやく取り抑えたフロレンスとリンドウ。暴れる少女から何とか話を聞き出そうとした矢先、少女は抑えるリンドウを払い退け、フロレンスに噛みつこうとした。
しかしその牙は届くことは無く、いつの間に現れていた二対の英雄によって取り押さえられていた。
 
「良かった、間一髪だったな!」
「ほんとにサリエラの言ってた通りだったねえ」
 
フロレンスとリンドウの二人は突然現れた伝説の存在に呆気に取られ、しばし口をぱくぱくとさせていた。
勇者テトと神凪は少女と近しい存在の者を知っており、ここに来たのもその者からの頼みだったという。
目覚めたばかりで不安定な状態であるという少女を連れ帰り、こちらで面倒を見るからもう安心してくれと笑顔で言った。
 
「サリエラが何とかしてくれるさ。君が静かに暮らせる場所に行こう」
「なんなら姉さんの食事付きかもよ〜?」
 
こうして少女は抑えられたまま、やがて目を閉じ眠り始める。突然押しかけてすまなかったとテトが頭を下げるので、フロレンスとリンドウはいやいやいや!と慌てた。
何か礼が出来ないかと話すと、テトは少女を担ぎながらも目を輝かせて二人に飛びついた。
 
「本当か!?実は料理が好きなんだこの街の特産品とか有名な食べ物とか郷土料理のレシピとか知りたい事がたくさん」
「ほら姉さんもう行くよ〜」
「わー待ってくれ!あ、彼女が落ち着いた頃に使いか知らせか送るから詳しい事はその時にまた……!」
 
こうして嵐のように去っていった彼女たち。
しかし一体あの少女は何だったのか、どうしてレヴィーと似た風貌だったのか結局なにもわからずじまいで、テトの言っていた連絡を待つしかないようだ。
 
翌朝。
リンドウはそういえばレヴィーから手紙が来ていたと話す。
「かえる 体なかった たのしかった」
と拙い字で書いてあるそれを見て、ようやく気の抜けた二人は胸を撫で下ろし安堵した。
 
「……それにしても」
「会えちゃったわ、伝説の英雄に!」
「しかも両者お目見え出来たなんて!」
 
彼女が帰ってきたら、一体どこから話そうか。そんなことを考えながら、旅するランドリーメイドの帰宅を待った。