一人称:私
性別:♂
深海照らす案内人。。
杖は体の一部のようなものらしい。
主に深海の見回り警備や迷子誘導などをしている。平気な様に見えるが、実は彼自身もっぱら暗所が苦手。
昔助けた鳥の子に恩を感じており、どこかで元気にしていて欲しいと願っている。
▼会話する
「私はノクティルカ。君は、迷子では無いね?」
「ここっていつでも夜みたいな場所だから迷子も多くて。もし迷ったら私が先導してあげるよ」
「リグは本当に頭が良いんだ!持たせてくれる機械?はいてく?私が疎いせいでよく壊してしまうんだけどね……」
■story
鳥の子は
迷子の鳥の子は、淡い光を灯す人のあとをついて歩く。
「今日は迷子が多いね、星の子が泣いたのかな」などと話す彼がどこか怪我をしていることに気が付きつつも、薄ぼんやりとした頭では言葉もなかなか出てくる事もなく、ただ彼が揺らす明かりを頼りについていくことが精一杯だった。
暗い暗い海の中で深海の案内人だと名乗った彼は、意識朦朧とうずくまっていた彼女を起こし、ゆっくりで良いから着いておいでとそう言った。
迷子の鳥の子も、言われるままに着いて行った。
彼は誘導しながら世間話でもするようにゆったりと、鳥の子が知らない話をし続けた。
ここが深海であること、昔あった事故のせいで暗闇が苦手なこと、今日は迷子が多く話の通じない者も居たということ、実はつい先日この役目は自分には荷が重いのだと仕えている者と話していたこと。
様々。
一体なんの話をしているんだろうと、話が頭を右から左へ横切っていく感覚を覚えつつ、着かず離れない彼がおよそ自分の歩みにずっと速度を合わせて歩いてくれている事に気が付きつつ、それでも鳥の子はぼんやりと足を動かした。
「ハイドレンジア様が言うんだ。深海の暗さを恐いって実感できる人じゃなきゃ、きっと迷子には寄り添えないって。私だから頼みたいんだって言うんだけど、果たしてこんな私で良いのやら」
「……貴方は、どうするか、答えたの?」
今まで口を開けなかった鳥の子が、話を聞いているうちに意識も浮上してきたのだろうか。
返事がくるとは思っていなかったのだろう案内人は少しだけ目を丸くしたが、すぐに顔を綻ばせて小さく笑った。
「うーん、実は保留中。情けないよね」
「…………あ、れ」
そう言って前を歩く彼を見て、鳥の子は思い出す。
“あのね、戦っている時も確かにそうなんだけど。……戦いが終わった後ってね、終わった事を知らずに、ずっと戦い続けてしまう人たちも居るの。貴方の声なら、きっと届く気がする。終わりをね、貴方が伝えてくれたら、なんてね。”
それは、彼女がいつか上官に言われた言葉だった。階級がはるかに違うが、たまたま居合わせたその人が、彼女の発する声に気を止めて話しかけに来た時のことだった。
「思い出した。どうしてこんな大切なこと、忘れていたんだろう」
「元の世界のことかい?何か大事な約束とか」
「……ううん。約束でも何でも無いの。でも大切にしようって、心に決めてたはずの言葉」
「そっか」
「私帰らなきゃ。帰ってまた、飛ばなきゃ」
「……なるほど、承知したよ」
案内人は少しして足を止める。そこは、今まで歩いてきた場所と対して差があるわけでもなく、特に何も変わりようもない場所に見えた。
しかし彼は一つ地面を指差して、「あった境界。ここを越えたらもう君の世界だよ」と、そう言った。
「境界……」
「ちょっとした、歪み?都度場所は変わるし、何かわかりやすい門がある訳でも無いんだ。だからこうして歩いて探していたんだよ。……一応聞くけれど、君は本当に帰りたい?ちゃんと手続きすればここに留まることも出来るけれど」
鳥の子はその言葉に、一瞬だけ言葉を詰まらせた。
しかしすぐに、
「帰るわ。だって私じゃなきゃ出来ない、まだやるべきことがあるもの」
と、今度ははっきりと目を覚ましたように、光の灯った瞳で彼を見据えそう答えた。
すると彼は納得したように頷いて、すっと彼女の後ろに周り込む。
えっとなになに?と少し困惑するのをよそに、杖の淡い光を揺らして。
「では、いってらっしゃい鳥の子。君に良き旅路があることを」
それから
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